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書籍紹介

「IT人材白書2009 ITで日本を元気にする」

 IT-jinnzai-hakusyo-2009.jpg情報推進機構IT人材育成本部編、「IT人材白書2009 ITで日本を元気にする」、オーム社、2009.053425
なお、IPA 人材育成本部のホームページ(http://www.ipa.go.jp/jinzai/index.html)に概要編が掲載されている。 
IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が、IT企業、ユーザー企業、大学などに対してのアンケート調査、および学生、卒業生、社会人に対してのWEBアンケートなどによる「IT人材市場動向調査」を行い、「IT人材白書2009」として本年5月に刊行した。
種々のデータが掲載されているが、大学等で教える立場や企業等で採用・育成する立場から見てみると、考えさせられるものがある。参考のため、第3章(大学向けの調査結果)と、第4章(卒業生向けの調査結果)から一部を紹介する。 
(1)2007年の情報系学部・大学院卒業生の進路
   通信事業者、コンピュータメーカ  15.4%
   情報サービス・ソフトウェア企業  25.9%
   ゲーム・WEB制作系企業      1.5%
   (上記の合計)          50.7%
  すなわち、半数が情報系の企業に就職しているが、ゲーム・WEB制作系企業はわずかに1.5%である。入学時の学生の希望はゲーム・WEB制作系が多いと聞くので、進路の希望と現実の間にかなりのギャップがある。 
(2)「大学が重視している教育内容」と「大学教育に期待するもの」
  大学の重視度が高いのに、企業の重視度が高くないもの
    「計算機科学」
  企業の重視度が高いのに、大学の重視度が高くないもの
    「システム・ソフトウェア設計」
    「文書作成能力・文章力」
    「チームワーク」
    「リーダシップ」
    「プロジェクトマネージメント」
  どちらも重視しているもの
    「プログラミング技術」
    「プレゼンテーション」
   別な項目で、大学側で今後重視したい分野として、上記の「企業が重視している分野」を挙げており、認識はしていることがわかる。問題はどのように実現するかである。 
(3)卒業生が重要だと思う教育内容と不足だと思う教育内容(上位からの順で)
  現在の大学・大学院の情報系の専門教育で、重要だと思う教育内容
     「情報系分野の基礎知識の習得」
     「チームワークやコミュニケーション能力の育成」
     「研究活動を通じた問題発見・解決能力の習得」
    「プレゼンテーション能力の育成」
  現在の大学・大学院の情報系の専門教育で、不足していると思う教育内容
     「チームワークやコミュニケーション能力の育成」
     「リーダシップの育成」
     「プレゼンテーション能力の育成」
     「企業におけるエンジニアの役割や仕事の内容の理解」
  「情報系分野の基礎知識の習得」を重要度の第1に上げていることは、大学の役割を冷静に評価していることの表れであると感じる。それゆえ、不足していると感じている内容すなわち「実践的能力」について、真剣に受け止めなければならないと思う。
IPAのホームページにある概要編が読みやすいので、興味がある方は、一度ご覧になることをお勧めしたい。                    
(実践的ソフトウェア教育コンソーシアム 事務局長 二瓶文博