|
ホーム > 遠隔地で同時に行うPBL授業
![]() 遠隔地で同時に行うPBL授業産業技術大学院大学教授 村越英樹 ここで紹介する資料は、産業技術大学院大学教授の村越英樹氏が、2009年3月27日に、「高度ICT人材育成研究交流会」(主催(株)教育戦略情報研究所、スポンサー総務省)で発表された講演のスライドである。PBL型教育を遠隔地間で実施するという1つの壁を、eラーニングを活用することによって破ることができることを示しているという点で興味深いので、要点を紹介する。 PBL型教育では、グループ作業を伴うので、通常は同じ場所に集まって学習する。このため、受講対象者が分散していると、場所と移動時間の制約が1つ壁になっている。村越氏の発表では、東京の産業技術大学院大学、神戸の神戸情報大学院大学、そして沖縄の琉球大学大学院の3つの組織が合同で、3つの場所にいてPBL型教育を実施した結果について報告している。 講義のテーマは、「図書館業務のモデリングとシステム提案」で、業務の現状とあるべき姿の構造をモデルによって表現し、業務の全体最適化(情報システムの提案を含む)を行うことである。 学習目標として、PBLの学習方法、モデリングによる業務分析手法、システム提案のプロセス等に関する知識を習得するとともに、①ヒアリング等を通じた顧客の業務内容把握とモデルによる表現、②モデリングの結果から改善案を提案、③改善案をステークホルダーに説明、④メンバーとの協調によるプロジェクト推進、等ができるようになることを掲げている。 3チームのうち、チーム1とチーム2が3箇所に分散したメンバーで構成され(遠隔混成チーム)、チーム3は琉球大学のみのメンバーで構成されている(ローカルチーム)。 各教室には、遠隔講義環境の基本的な機能として、同期型のWeb会議機能やデータ共有機能が用意される。また、非同期型で、教材の受講機能や、ファイルのアップロード/ダウンロード機能、掲示板機能を用いた全体ディスカッション機能、グループディスカッション機能、メンタリング掲示板機能等が使えるようになっている。 講義ははじめの20分は全拠点合同の実況中継型授業、残りの70分はグループワークで進める。顧客役へのヒアリングやレビューなどは、全員が90分間会議システムを利用して実施した。同様にして、2回の成果発表会も全拠点合同で行っている。すなわち、上記の遠隔講義型のeラーニング環境を用いて、通常のPBL型講義を実施したわけである。 学習効果についてみてみると遠隔混成チームとローカルチームによる大きな差が認められない。これは重要なことである。ICT環境を使えば、分散した状況でもグループ作業が問題なくできることを示している。遠隔地のメンバーによるPBLに対して、eラーニング環境の利用が有効であると結論付けている。このような受講生の構成は、多様な専門性や経験を有したメンバーおよびステークホルダーが加わることで、多くの点で、一味違った学習効果を可能にする。今後、PBL型講義の活用を検討される方には、貴重な情報を提供していると思う。 なお、授業時間外のグループワークについて村越氏に質問したところ、「システムを利用したグループ作業の多くは、講義時間内であるが、講義時間外にも作業をしていたグループもあった。当初は、自由に会議室を設定し、利用することを考えていたが、会議室の設定に難があったため、あまり利用できなかった。講義時間外でのメンバー間での作業は、作成文章の確認などで、主にメールを利用していた。」とのことであった。 (実践的ソフトウェア教育コンソーシアム事務局長 二瓶文博)
|